くり~み~あじ~る

Notes Toward a Supreme Fiction

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Diary 『マンガと映画 』三輪健太郎

本書は映画とマンガという「近代」的な芸術を比較することでマンガの理論化を試みる。これは映画とマンガが近代の「視覚」に依拠しているからだ。つまり、それは映画とマンガを同じように読み解きうる「視覚」を近代人である自分たちが持っていることを意味…

Diary 『探偵が推理を殺す: 多元化する社会と本格ミステリ』小田 牧央/『法月綸太郎ミステリー塾 海外編 複雑な殺人芸術』法月綸太郎

本格定義論争、特にX論争について思ったのは「どうでもいい」だった。前提として謎の難易度についてはかなり興味がない。元々推理小説を読んで推理などしたことないし(必然的に推理してしまって真相に至ったということはあっても)、故に少なくとも自分にと…

Diary 『不完全性定理とはなにか』竹内薫

ミステリについて考えようと思ったので不完全性定理の概要は再確認したいと思って手に取ったけどなかなかわかりやすかったと思う。小説や伝記風の記述もあって飲み込みやすい。 第一に紹介されたカントールにおいて、順序数と濃度の概念を導入する。順序数は…

Diary 『八月の光』フォークナー/『+チック姉さん』(22)栗井茶

フォークナーをこの一週間くらいちまちまと読んでいたのは、『八月の光』がつまらなくて読み進められなかったからではない。むしろ文体にはとても惹かれていて「小説」を読む面白さとはこういうことだと思ったくらいだった。では、なぜ読む速度が遅かったの…

Diary 『戦場のフーガ 鋼鉄のメロディ』(1〜4)足立たかふみ・サイバーコネクトツー/『宇宙プロジェクト開発史アーカイブ』鈴木喜生/『月の真実と宇宙人の存在』39直人/『月の縦孔・地下空洞とは何か 月探査機「かぐや」による縦孔発見から「UZUME」計画まで』春山純一

今日集中的に宇宙の本を読んだのは陰謀論にハマったからではなく、前から書こうと思っていた東方の二次創作、特に紺珠伝をモチーフに何か書こうと思ったからだ。幻想を侵略する不可視のキュリオシティとアポロ捏造説は魅力的なイメージに感じた。というわけ…

Diary 『読書について』ショーペンハウアー

そもそも読書日記を付けようと思ったきっかけを考えるにあたって、『読書について』はちょうどよかった。というのも自分が何も考えていないのを実感していたから。 読書とは他人の頭で考えることだみたいなアフォリズムは聞き覚えがあっても、実際に自分自身…